NEWS

2019.7.14 HPをリニューアルしました。Internet Explorerと古いバージョンのFire Fox、タブレット端末では正しく表示されない場合があります。
2019.9.11 高島和希教授が日本金属学会の学術貢献賞を受賞しました。
2019.12.03 受験のページに大学院入試の過去問を掲載しました。去年と一昨年の分です。
2020.04.05 当教育プログラムの大学院紹介のパンフレットを掲載しました。

宮野さん、受賞!

    材料物性学研究室M1の宮野遥 ...

渡邉さん、投稿論文アクセプト!

材料物性学研究室M2の渡邉桃加さんの ...

3年生工場見学 (卒業生と共に)

    3年生が川崎重工株式会社の明 ...

井口君、投稿論文アクセプト!

材料物性学研究室M2の井口健斗君の論 ...

林君、投稿論文アクセプト!

材料物性学研究室M2の林昂佑君の論文 ...

8/3 (土) はオープンキャンパス!

電子書籍版パンフレット  ↓     ...

上村君 in チェコ!

材料組織・界面制御学研究室D3の上村 ...

渡邉さん & 岡君 in オーストラリア!

材料物性学研究室M2の渡邉 桃加さん ...

宮野さん、受賞!

材料物性学研究室M1の宮野 遥さんが ...

山田君、受賞!

微細構造解析学研究室M1の山田 裕太 ...

大元君、受賞!

環境調和材料学研究室M2の大元 涼介 ...

マグネシウム ― ステント

 
血管が詰まったら、ステントなしでは生きられない。
しかし、金属が体内に一生残るのは嬉しくない。
できれば要らなくなったら消えてほしい。
 
かなり無理な相談だが、実現不可能ではない。
溶けて生体に吸収されるのは
有機化合物の専売特許というイメージがあるが、
実は金属も体内で溶ける。
 
金属アレルギーは、
溶けてイオン化した金属がタンパク質と結びつき、
変質させた結果として起こる。
マグネシウムは生体必須主要元素なので、
アレルギー反応が起こり難い。

鉄 ― 橋

 
これはお台場のレインボーブリッジ。
鉄が4万8000トン使われている。
瀬戸大橋には40万トン使われている。
戦艦大和7隻分である。
ヤマトに使われていた鉄は、東京タワー15本分である。
 
現在日本には、道路橋が14万橋以上ある。
橋の寿命は一般に、50年から100年といわれている。
これらの大半は、高度経済成長期に集中的に作られた。
 
高度経済成長期とは、1954年から73年までの19年間を指す。
つまり今から46~65年前。

鉄 ― エッフェル塔

 
1889年にパリ万博のために建造された。
当初の計画では、万博終了後に解体される予定だった。
劣化した部品を年300箇所のペースで交換して現在に至る。
全部で18,000箇所。これまでに2回総入れ替えした計算になる。
 
余談だが、エッフェル塔を作ったエッフェル氏は、
自由の女神の中身(骨組み)を作った人でもある。
女神の外身を作った人は、彫刻家のバルトルディ。
顔のモデルは、彼の母親。

鉄 ― 線路

 
線路に鉄はどれだけ使われているだろう?
日本の鉄道の総営業距離、2万8千キロ。
地球の直径の倍より長い。
線路はレールが2本だから5万6千km。
 
レールには幾つか規格がある。
在来線は1 m当たり幹線が50 kg、ローカル線が40 kg。
面倒なので45 kgで計算すると、5万6千kmで252万トン。
 
日本のレールを全部集めても、瀬戸大橋の6倍しかない。
瀬戸大橋、恐るべし。

鉄 ― 自動車

 
自動車産業は日本経済を支える基幹産業である。
現在日本には
純利益が1兆円以上の企業は3社しかない。
トヨタの純利益は2.5兆円。ダントツでトップ。
2位はホンダ、1.1兆円。3位はソフトバンク。
 
2.5兆円という数字は
日本の税収60兆円の24分の1。
タバコと酒の税収の合計( 0.9 + 1.3 兆円 )とほぼ同額。
 
ちなみに日本の歳入(一般会計)は約100兆円である。
税収との差額は国の借金。

医療費は現在42兆円で、
2040年には67兆円まで増大する見込みである。

クロム ― ステンレス調理器具

 
ステンレスの主成分は鉄であるが、
ステンレスがステイン・レス
(stain less = シミがつかない = 錆びない)たる所以は
クロムが12%以上添加されているからである。
 
クロムは鋼の表面に酸化被膜Cr2O3を形成する。
要するに錆びているのだが、
錆びるのは表面から5ナノメートル程度までで、
それ以上は進行しない。
このような状態を不働態と呼ぶ。
 
チタンやアルミが錆びないのも、
表面に不働態被膜が形成されるためである。
酸化被膜が不働態になるか否かは
Pilling-Bedworth比で大凡決まる。

タングステン ― 核融合炉

 
写真はITERではなく、JET。
ITERが完成するのは2025年の予定である。

核融合のプラズマは
磁場の力で炉の内部で宙に浮いているのだが、
温度が1億℃なので、炉の内壁はかなり熱くなる。
タングステンの融点は金属の中で最も高い。3422℃。
 
プラズマ粒子が衝突することによって
内壁は原子単位で削られていく。
スパッタと呼ばれる現象である。
削られた原子がプラズマに混入すると、
プラズマの温度が低下し、核融合反応を維持できなくなる。
 
重い元素ほどスパッタされ難い。
重いタングステンはその意味でも有利。

アルミニウム ― 航空機

 
ライト兄弟が作った世界最初の飛行機は木製だったが、
現在の飛行機は主にアルミ製である。
ゼロ戦もアルミ合金製だった。超々ジュラルミンである。
 
ジュラルミンを発明したのはドイツだが、
超々ジュラルミンを発明したのは日本の住友伸銅所。
発明者の五十嵐勇博士は熊本出身。
 
ジュラルミンが発明されたのは1906年。
超々ジュラルミンは1935年。
アルミが硬くなるメカニズム(G-Pゾーン)が解明されたのは1938年。
 
マテリアルサイエンスの世界では、
メカニズムが断片的にしかわからないまま
ものづくりが先行する場合が多い。

チタン ― 潜水艇

 
これは ”しんかい6500”。現在 ”しんかい12000” を開発中。
6500メートルの深海では、水圧は650気圧、65 MPa。
純アルミでは塑性変形してしまう過酷な環境。
 
チタンが使われている理由は、軽いから。
水中では重くても問題ないが、
潜るポイントまでは別の船で運ばなくてはならない。
海上はかなり揺れる。その状況で潜水艇を着水・揚収する。
だから軽ければ軽い方がよい。
 
その意味では、本来アルミの方がベター。
強度の問題はマテリアルサイエンスの力で何とかなる。
例えば超々ジュラルミンの強度は600 MPa。
しかし、アルミは海水で激しく腐食するので結局NG。

銅 ― 電線

 
銅は10円玉の材料として有名だが、
用途として最も重要なのは電線である。
電線に使われるのは、電気伝導性がよいからである。
銅は金属の中で2番目によい。
1番は銀。金ではない。
 
オーディオプラグを金でめっきするのは、
電気抵抗が小さいからではなく、酸化しないためである。
酸化被膜は多くの場合絶縁体。電気が流れない。

ジルコニウム ― 燃料被覆管

 
福島第一原発事故における水素爆発は、
燃料被覆管が酸化した際の副産物として
水素が発生したために起った。
目下、代替材料が検討されている。
 
仮に鉄鋼材料に置き換えたとすると、
被覆管の厚さを1/3にしなくてはならない。
 
元々ジルコニウムが使われていたのは、
中性子をよく透過するからである。
管の長さは5メートル近いが、肉厚は1ミリもない。
それをさらに1/3 にする。
理屈はわかっても、一抹の不安が残る。

形状記憶合金

 
 
動画をアップロードする予定でしたが、
間に合いませんでした...
 
8/3のオープンキャンパスでお見せします。
 
是非お越しください!
 
 
 
 

シリコン ― 半導体

半導体産業の要はシリコンウェハ。
世界シェアの60%を日本の企業が供給している。
 
写真はウエハを切り出す前の単結晶インゴット。
金属ではないが、金属のように美しい。
金属と非金属の中間という意味で、半金属と呼ばれる。
 
半金属は英語で ”semimetal” 。"half metal" ではない。
"half metal" の日本語訳はハーフメタル。片仮名にしただけ。
 
ハーフメタルとは、電子のエネルギー順位に関して、
金属のバンド構造と絶縁体のバンド構造を併せ持つ物質を指す。
半導体のバンド構造は、この2つの中間である。
 
シリコンが半導体なのは結晶構造がダイヤモンド構造のときであり、
βスズ構造のときは金属である。

シリコン ― 太陽電池

”太陽光発電の問題はコストと天候のリスクである”

10年前はそう考えられていたが、今は事情が少し違う。
大量生産によるコスダウンの甲斐あって、
現在では原子力よりも安価であると試算される場合が多い。 
 
天候のリスクとは
発電量が天気に左右されるため、安定供給が見込めない
という意味である。
 
曇りの日には、発電量が1/3程度に落ち込む。
雨の日は1/10、雪の日は限りなくゼロである。
この問題に関してだけは、劇的な改善が見込めない。
 
太陽電池には、電気を溜める機能がない。
英語で言うと、solar cell。batteryではない。

ガラス、金属ガラス、セラミックガラス

 
ガラスの定義は難解である。
一般の人にとっては、”ガラス” = ”透明なもの” という認識であるが、
材料工学科の学生にとっては、
”ガラス” ≒ "結晶でないもの" = ”アモルファス” という認識である。
 
熱力学的には、"ガラス” = ”液体と固体の中間状態の何か" である。
その ”何か” が未だによくわかっていない。
 
ガラス転移におけるKauzmannのパラドックスという観点から考えると、
”エントロピーが理想状態とは異なる(流動性を喪失した)液体”
という解釈に落ち着くだろうか?
いずれにしても、透明度とは全く関係のない議論である。

セラミックス ― 歯

 
金属の輝きは美しいが、歯に使うと不自然である。
人工歯はセラミックスの方が断然美しい。
プラスチック(樹脂)よりも審美性が高い。
 
但し、脆性材料なのでそのままでは奥歯には使えない。
保険も効かない。
原料費は安いのに、治療費は金歯の倍である。
割れたら一本10万円。
怖くて硬いものはもう食べられないと、経験者は言う。

セラミックス & カーボン ― スペースシャトル

 
大気圏に再突入する際、機体の温度は1600℃まで上昇する。
シャトルの本体はアルミ製。融点は660℃。
セラミックスとC/Cコンポジットのタイルを張ることで、
3000℃まで耐えられるようになる。
 
金属でもタングステンであれば溶けないが、重すぎる。
薄くしてアルミに張り付けるのもNG。
熱伝導性の良さが仇となり、中のアルミが溶けてしまう。
 
セラミックスがないと、宇宙に行くことはできても、
帰ってこれない。
 

CNT ― 軌道エレベータ?

 
これはカーボンナノチューブ(CNT)を紡績した糸。
基盤上に化学的に合成したCNTの林から
ピンセットを使ってCNTをつまみ出すと、
ファンデルワース力の恩恵で、
CNTは配列しつつ繋がった網として取り出せる。
それに撚りをかけると糸になる。
それを編むとシートができる。
 
軌道エレベータ実現までの道のりは長いが、
要素技術の開発は着実に前進しているようだ。
   

熊本大学
工学部 /
大学院 先端科学研究部(工学系)
材料・応用化学科
物質材料工学教育プログラム
(旧マテリアル工学科)

〒860-8555 熊本市中央区黒髪2丁目39-1
黒髪南キャンパスC3 研究棟I

物質材料工学事務室
TEL (096)-342-3681
FAX (096)-342-3710

金属材料の魅力

金属が他の材料と比較して優れている点は、強度が高く、それでいて脆くないことです。単純に強度だけを考えればよいのであれば、セラミックスの方が優れています。しかし、強度が高いだけでは、生命 (いのち) を預ける物には使えません。不測の事態 ― 例えば、建物でいえば地震、車でいえば衝突事故、そういった事態に遭遇したとき、脆い材料では生命を守れません。金属にはこの他にも、加工性がよいこと、融点が高いこと、電気や熱の伝導性がよいことなど、工業材料として他の材料では代替が効かない様々な特徴を有しています。見た目がよいことも重要かもしれません。見た目の良し悪しは、工学の世界では往々にして軽視されがちですが、それでは人の感性は満足しません。金属特有の光沢は、古代文明の時代から人々を魅了してきました。工学的な欠点は重いことです。しかし、貴重や重厚という言葉がよい意味で用いられていることからもわかるように、人は “高価なものは重い” 或いは “重いものには安心感がある” といった具合に、重いものに対して直感的にプラスのイメージを抱くようです。こうした理屈では割り切れない人の感性の問題も、社会基盤材料としての金属の需要が減らないの理由の一つなのかもしれません。

学術的な研究対象としての金属

材料工学(マテリアルサイエンス)という学術体系における究極目標の一つは、物質の性質を司るメカニズムを根本から理解することです。金属は他の材料と比較して、その根本的理解に一番近いところにあります。学術的な研究の歴史は一番古いです。それは産業革命以降、特に戦時中、実用的な重要性から研究が急務であったためもありますが、もう一つの理由は、金属の構造が一番シンプルであるためです。固体は原子の集合体です。金属材料では一部の例外を除き、原子が規則正しく配列しています。その周期的な構造(結晶)が基本構成単位です。材料のマクロ的な性質を司るメカニズムを、ミクロスケール・ナノスケールの微細組織に由来する性質、結晶の性質、さらには原子の性質に階層的にブレイクダウンして考えるとき、もし、配列に周期的な構造がなければ、解析の難易度は格段に上がります。しかし、金属は一番シンプルであると言っても、それでもわからないことが数多く存在します。根本的理解に到達したとき何が見えてくるでしょうか? 人類は未だその境地に達しておりません。

物理学と材料工学の違い

物理学で研究されている “自然界における法則性”の多くは、物質の性質に関するものです。材料工学でも物質の性質を研究します。物理学者と材料学者の境目は曖昧なのですが、時として、研究のアプローチ方法や研究の掘り下げ方の違いとして浮き彫りになる場合があります。物理学者にとって最大の関心は、その性質が発現するという事実と、その性質の法則性です。その実験に使用した物質(試料)の中身については、あまり深く考察しない傾向にあります。材料学者は、物質の性質がその内部の組織次第で大きく変化することを強く認識しております。内部組織とは、結晶に含まれる格子欠陥や、結晶粒界、結晶の配向性、不純物や析出物などです。結晶の性質は組成によっても大きく変化します。そのような観点から、内部組織がマクロ的な性質に及ぼす影響を検討し、より良い性質が発現するために(より使える材料にするために)内部組織をコントロールする技術を開発します。それが物理学と対比させたときの、マテリアルサイエンスの特徴です。

日本の材料工学が一流である理由

日本の材料工学は、世界トップレベルです。ものづくりがトップレベルであることは皆さんもご存知かと思いますが、それを支える基礎研究もトップレベルにあることを、認識している人はそう多くないかもしれません。トップレベルであることには理由があります。それは日本が電子顕微鏡大国だからです。世界には大手の電子顕微鏡メーカーが3社あり、そのうち2社が日本企業です。材料工学の要は内部組織の理解であり、その内部組織を直接見るためのツールが透過型電子顕微鏡(TEM)です。TEMが市販されたのは1950年代であり、それ以降、TEMの発展と共に材料工学も急速に発展してきました。80年代から90年代にかけて、日本は現在の地位を確立しました。このように日本は装置の利と、長い研究の歴史に基づく経験的知識の蓄積、ものづくりに懸けるプライドによって、現在もトップグループにあるのですが、最近は中国のマンパワーに押されています。学術論文の本数の比率は、日本を1とすると、ヨーロッパ各国がそれぞれ1、アメリカが4、中国が10です(原子力材料分野の場合)。日本が生き残るためには、若い世代の力が必要です。

熊大における材料工学

当物質材料工学研究プログラムは、”金属の研究に偏っている” とよく評されます。普通の材料工学科は、多様性を重視して、もう少しバラエティーに富んだ編成になっている場合が多いです。しかし、リソースには限りがあります。全てを平均的にこなせる人は多くの場合、器用貧乏です。一つのことに突き抜けていると、それはその人の個性になります。世の中の役に立つためには、突き抜けた個性が必要です。学会において、熊大は学科の規模や大学ランキングを超越して、エネルギッシュに独自路線を開拓する個性的な存在として認知されております。皆さんご存知のKUMADAIマグネシウムを筆頭に、金属材料関連の研究では業界トップ水準です。